飯豊連峰  石転ビ沢〜門内沢 

 温身平のブナ林  新緑が眩しい  11年前の現場。そっと手を合わせた
   
彦右衛門ノ平も雪が豊富  婆マクレは、シーズン初めで悪い
   
梶川の出合は雪が豊富   雪渓には地竹原から乗った  石転ビの出合から石転ビ沢を見上げる
   
  石転ビの出合から下山ルートの門内沢を見る。  ブロックの残骸が奇妙な形で残っていた
   
 このルンゼからの落石もよくある  北股沢ノ出合から上部を見上げる
   
 北股沢の出合から羊岩  落石に気を付けて進もう
   
 徐々に傾斜が増してくる  一歩ずつ確実に登ろう
   
 傾斜もだんだん強くなってきます  ユックリ確実に
   
  例年早めに割れの入る場所だけど少し長さが長い  26日朝、北股岳の雪庇・・落ちれば石転ビ沢を襲う
   
 26日北股岳を経て門内岳方面へ北上  門内沢を降る
   
 下山は早いな〜  ブロックの残骸・・・大きいね
   
 婆マクレを気を付けて通過 温身平付近の遊歩道脇の可憐な花
   


日 時   平成25年5月25日(土)〜26日(日)  
参加者  akiちゃん(NAC)Satomin、LTQ(KAC)
行き先  飯豊連峰 石転ビ沢 梅花皮避難小屋〜門内沢
天 候   5月25日 晴れ時々曇
      5月23日 曇り時々晴れ

装 備  春山小屋どまり
登はん用具:アックス・クランポン・ロープ・ハーネス・カラビナ
雪山装備:Wストック
ナビ用品:GPS、Mポインター、地図、シルバコンパス
防寒具:合羽で代用・、ダウンジャケット(薄物)
飲み物:水500ml
食料品 握り飯5個、パン2個 
その他 非常食1,000Kcal分
残 量  非常食
嗜好品 アルコール類・ツマミ類

コースタイム 事柄 備考
525
05時30分       集合場所
06時45分       天狗平P着 ブヨが煩い
07時08分       天狗平P発(420m)
07時36分       温身平(450m)
08時09分       上の堰堤(490m)  休憩 一枚脱ぐ 暑い
08時38分       8年前の事故現場対岸、手を合わせる。
08時40分       うまい水(600m)   水場はまだ、雪の下。
08時50分       彦右衛門ノ平(615m)で休憩 ブヨ酷い
09時15分       地竹原で雪渓に乗る(645m)
09時31分       滝沢の出合(665m)
09時40分       梶川の出合い(690m) 
10時20分       石転ビの出合着  食事(870m)
11時44分       ホン石転ビの出合(1,250m)休憩
12時45分       北股沢の出合の上で食事 (1,500m)   
14時20分       梅花皮小屋着(1,850m)

526
06時15分       起床
08時20分       梅花皮小屋発(1,850m)
08時56分       北股岳(2,024.9m) 休憩
09時28分       ギルダ原(1,880m)
09時35分       雨量計跡(1,870m)休憩 下降ポイント   
11時12分       石転ビの出合着  食事(870m) ブヨ煩い
11時54分       地竹原から夏道に上がる(645m)
12時05分       彦右衛門ノ平(615m)で休憩
12時50分       上の堰堤(490m)
13時00分       温身平(450m)
13時28分       天狗平P発(420m)


GPSデータ
TP積算距離    19.0km
TP移動時間    06H27M
移動平均速度   2.9km
全体平均速度   1.9km
累積標高(+)    1,917m
最高到達点     2,017m
以上GPSデータ

概略
昨年、6月3日(日)に同行者のakiちゃんが新潟県阿賀町(旧三川村)の御前ヶ遊洞窟へのアプローチでのシジミ沢の中で動いた倒木に足を
巻き込まれ、開放骨折、ヘリで救出搬送となり、新潟大学病院で2回の手術、今年に入って3月19日に骨折箇所を繋いでいたプレートを外す手術

3月25日に抜糸(抜鉤)で全ての治療を終えた。
開放骨折であったこと、足首に近く足首の関節の癒着で可動域が狭くなったこと、浮腫みがなかなか取れない。等治療そのものが終わっても
なかなか元のとおりとはいかない。それでも、登山を昨年9月下旬から再開し順調に回復してきたので、事故後1年で石転ビ、或いは谷川岳の
易しい登攀ルートを登る事が出来れば良いなと考えていたが、今年は天候が悪く、外岩で練習する時間もほとんど無かったので迷わず石転ビ
を考えていて、5月24日(金)夕方の林道開放の情報を得て実施した。
今回は特に、安全性に重点をおいて、疲労感を少なく押さえる事を重点的に考えて登下降したつもりである。

記録
5月25日(土)
集合場所でSatomin、akiちゃんと予定通りの時間出発。予報通りに良い天気に恵まれ期待する。
石転ビはボクも昨年は入っていないので約2年振り。どこから雪の上に上がる事ができるのかな?ツブテ石から上がる事ができれば楽ちんなんだ
けれどなぁ・・・大淵のゲート〜天狗平の林道が開通するのが早くて5月下旬、6月に入ることも珍しくない。
そうなると、下流部の残雪量の関係でツブテ石付近から上がれることは少ない。

天狗平に着くとかなりの車の数、かなり石転ビ沢は人が入っているのかな?と思う。
準備をするが、ブヨが纏わりついて煩い。20日程前は稜線で吹雪の心配をしていたのだが、今度はブヨが煩い。
この春は、天候が寒く不安定だった。毎年の気持ちの良い春の時期があまりにも短かかった。

湯沢のゲートを通って、温身平を目指す。遊歩道のブナの新緑が美しい。前後に人もおらずノンビリとした雰囲気で心が和む。
温身平を経て上の堰堤の広場で半袖になる。ブヨの餌食になるのは承知。大量発汗で着衣を濡らしたくない・・・とはいえ、ブヨもガンガン攻めてくる。
堰堤の上で11年前対岸で山菜摂りをしている時に、滑落、死亡した会社の従業員の方を偲んで手を合わせる。
先に進むがやはり、下ツブテ石付近からは雪に乗れそうもない。

うまい水は、まだ雪に覆われていたが、もう直ぐ開くだろう。少し進んだ彦右衛門ノ平で休憩。やっぱりブヨが煩い・・・・痒っ!
休憩してさて、婆マクレの悪場に入る。まだ、シーズン初めで悪い。気を付けて通過する。
我々はザックだが、これがスキーだったらかなり辛いものがある。

婆マクレを通過して地竹原から雪渓に乗った。
雪渓に上がったら冷たい風が気持ちよく、ブヨも姿を消した。空は青く、風も心地よく実に快適で、先ほどまでの足場の悪い場所、藪、暑さがウソ
の様である。ここからは石転ビの出合いを目指して緩やかな雪渓を登って行く。

前方から一人下山して来る。何だか見覚えのある姿。
私の父だった。夜明けを待って温身平で写真を撮り、11年前の事故現場対岸で手を合わせ石転ビの出合まで行ってきたそうだ。
少し立ち話をして上に進む。
滝沢ノ出合・梶川ノ出合と進んで小休止。

梶川ノ出合を過ぎて暫く進んで赤滝を右手に見上げ更に進んで、一段上がると石転ビノ出合である。
どちらかというと、進行方向なりが門内沢で、石転ビ沢は、やや左手に進む感じになる。
ここで、ノンビリと休憩&食事、何せここから山登りという感じになる。婆マクレの悪場もあるもののここまでは長いアプローチの様な印象もある。

ノンビリ休憩してから次の休憩ポイントである、ホン石転ビの対岸上の休憩ポイントを目指す。
概ね1時間位だが休憩も長め、登行スピードも抑えめに進む。後半に疲労感が強く出ない様にするためには、
北股沢の出合までは抑えめに登った方が疲労感は強く出ない様に考えた。

登って行くと妙な形の雪が立っている。ブロックの残骸が融けたのだろう。モニュメントの様なブロックの残骸を通り過ぎて休憩ポイントに近付く。
スキーヤーが早々と降りて行く。表面の軟雪とその下の雪の質が異なり、少し傾斜が出てくると靴底がスリップする。
渋々クランポンを少し早いが装着する。通常はこの上のホン石転ビ沢対岸上の休憩ポイントからでよいと思う。やはりクランポンを付けると疲れる
から、あまり早めには付けたくないものだ。休憩ポイントで休憩・食事。

次の目標は北股沢の出合。枝沢の雪はまだほとんどつながっているので、落石、落雪の可能性が高い。
注意して登っていくと、徐々に傾斜が緩んでくる。北股沢ノ出合に到着。
ここで、これまでの筋疲労を緩めて貰う意味もありかなり長く休憩&食事時間を取った。
スキーの女性が先行パーティーから離れ独りで此処で待って下山を待つようでツエルトを被って休憩していた。
ボクが小用を足してザックの所に戻ろうとした時、なんか妙な感じがして上を観ると、あまり勢いのない落石が雪面を転がっている。
「オイ!ラクッ!ラクッ!」と叫ぶ。akiちゃん、Satomin、スキーの方の3名のかなり上で落石は勢いを失った。
しかし、ここは絶えず上部への警戒を解いてはいけない場所というか、そういう雪渓なのだ。

十分に休憩して最後の急登にかかる。急登を一歩一歩登る。振り返ると次第に高度感が出てきて、朝日連峰も眼の高さが揃ってくる。
今日は落石も極端に少なくて良い日である。
しかし、北股岳を観ると、石転ビ側に垂れ下がった巨大な雪庇が見える。
あんなデカイ雪庇が割れて崩落したら、下部の岩を巻き込んで酷い落石、ブロック雪崩を起こすことは明らかである。
くわばら・くわばら・・・・
akiちゃんがSatominに先に行く?と先頭を譲ると、若い彼女はトコトコと進んで行った。強くなったものです。

直登しているトレースが左岸方向(下から右方向)に大きく曲がっている。
例年、早めから亀裂の入る所だけど今年は早めに大きく亀裂が走っている。このためかなり左岸方向に迂回している。
僅かに登ると小屋の屋根が見えた。でも油断ならない・・・小屋の屋根が見えてから案外長い。

ほどなく、小屋に到着する時、スキーの団体が降りていった。アルペンにテレマーカーの混成隊だ。
上手にスピードコントロールして降りて行った。

小屋前には、先行していた2人の登山者が休憩していた。
水場でBEERを冷やして、乾杯の準備を進める。どうやら、先行していた2人パーティーと我々の2パーティー5人しか宿泊者はいない様だ。
やはり、スキーは機動力があるので日帰りとなるようである。スキーヤーに対し何とヤマ登りが少ないことか・・・・

少しノンビリしてから、乾杯。
akiちゃん、Satominともに疲労感は少なかった様子。逆にボクは水曜日に少し長めのジョギングで足に疲労感と右足小指のマメが割れていたので
チト痛かった。
夕方Satominは独りで北股に上がり夕陽を観に行った。
同宿のお二人と話をすると、リョウちゃんと知り合いとのこと・・・・
四方山話をしながら酒が進んだ。



5月26日(日)
門内まで廻って降りるだけ・・・・そうなんだ。そのせいもあって、誰も目ざましをかけなかった様である。
出発する時間より遅く起きるテイタラク・・・・
しかも、焦ることなく、朝からフライパンでジュ〜と炒め物。
BEERでもあれば1本飲みたい気分になる。
適当な時間で出ることにして、コーヒー飲んだりしていたら8時を過ぎた。
まあ、計画書がユックリ目に作っていたから、そう、ベラボウな遅れにはならないのでのん気なものだ。
同宿の2人も5分前に出て行った・・・・同じく門内沢を降りたいという。
小屋から改めて垂れ下がった雪庇を眺めるとデカイ・・・・

北股岳へ登る。朝一の急登は何時もの事ながら辛い。15分も歩くと慣れるのだが・・・・・
途中で振り返ると梅皮花の小屋が小さくなっている。
北股岳山頂で写真を撮るけれど昨日より空に雲が多くイマイチだ。大日岳山頂にも雲がかかっている。

北股岳から降るけれど、門内沢の下降ポイントまではずっと夏道が出ているのでクランポンを外す。
夏道を降り、少し緩く登りかえすと昔の雨量計の跡がある。門内岳山頂から北股岳方向に僅かに下ったところにある鉄製のカゴである。
先日、中条山ノ会の亀山氏に電話した際、この辺りから降りると傾斜も緩くラクだったと言っていたので、ザックを降ろし少し下ってみる。特に問題は
なさそうである。
同宿だった仙台からの渡辺さん達と前後しながらの下山。上部は急斜面であるがブロック、落石の心配の少なく
雪の質も降りやすい絶好の条件である

SatominはSAJのスキー1級の保持者であるが、まだ、ピッケルワーク、アイゼンワークは不慣れ。(会でキチンとした指導をしていない・・・自責の念)
入会3年位のアックス(ピッケル)を使えない者を連れ、落としてしまった・・・そうなれば、ボクの責任問題である。
アックスを使えない者がフリーで雪渓でスリップした場合、パーティーの他のメンバーが出来ることは、無事を祈る事以外何もできない。
やはり、それなりにアックスが使えるようになるまではロープで確保すべきだと思う。
今回は先頭にSatomin、akiちゃん、LTQの順にロープを繋いだ。この雪質、この傾斜なら、2人スリップしてもボクが必ず止めるという考え方である。
門内沢、この雪質だからできるという判断でコンテで降りた・・・もちろん危ないと感じれば、スタカットに切りかえるつもりでいた。
途中単独のスキーヤーとスライド
門内沢も上部300m位は急だけれどあとは、傾斜も緩む。もう少し降り、ロープを解く。暫く降ると、2人のスキーヤーが登ってきた。
見れば、所属会の坂場副会長と若月氏である。少し立ち話をして降る。
梶川峰の側壁からブロックと落石が少々落ちるけれど殊更どうこうという規模ではない。

直ぐに石転ビノ出合に到着。
今日は既にここからブヨがお出迎え・・・熱烈歓迎
酷いブヨで、石転ビノ出合で食事をしているパーティーは防虫ネットを被っていた。

一休みして、雪渓をドンドン降って地竹原。雪渓から夏道に上がる・・・・ヤレヤレ
婆マクレを注意して通過して地竹原で一休み。
うまい水の近くで酷いブヨに囲まれながら親子連れが休んでいた。

途中で防虫スプレーや痒み止めを塗りながら下山。温身平まで下山して本当の安全圏に入り一安心。と思ったら林道脇に大きな枯れ木があり
やはり、自宅着までは油断ならん!と思う。

湯沢のゲートに着いたら会社でお世話になっている社労士さんがドライブに来ていた。
梅皮花荘に着いて風呂に向かうと、風呂上りの新潟の「ゆきみ山の会」の方とすれ違い。倉手山を楽しまれたとのこと。
梅皮花荘の風呂で汗を流し、自販機の前で休んでいたら、小国山岳会の竹爺、郁ちゃん夫妻、岳ちゃんが春山合同訓練から戻り風呂に来た。

沢山の方にお会いした山行でした。

渡辺さん、また飯豊でお会いしましょう。写真ありがとうございました。

※ 門内沢下降の際、Satomin、akiちゃんのロープ間隔は4弱m、akiちゃんとボクの間隔は6m前後と短めとした。その中でループを作り更に短く調整した。
   理由は雪渓なので屈曲することがない、斜面の傾斜変化が少ない。また、ロープ間隔が長く緩んでいると滑落の衝撃で
     吹っ飛ばされる ので、短めのロープ間隔とした。

   そして、絶えずSatomin、akiちゃんの間隔に注意を払って緩み過ぎない様にした。

※ 大ケガから1年、akiちゃんよく頑張りました。辛い時期もありましたけれど、ここまで1年で回復できて本当に良かった。


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